Amazon カスタマー 5 現在、一般に市場に出回っているギターエフェクターとしてリングモジュレーターの大半の機種が、外部のエレキギターなどから入力された音に対して、回路に内蔵された発振器(サイン波等の単純波形)からの波形をリング変調によって掛け合わせて、あの独特の金属音やディスハーモニックなサウンドを合成しているが、このmoody sounds carlin ring modulatorは、外部からもう一つの音を入力する為の第2の外部入力を備えている。これによって例えば自然界の音や、ラジオから流れる放送などをメインに入力からのギター等とリング変調で掛け合わせ、実に複雑怪奇な音響の合成に挑戦できる。この第2の入力を持つギターペダル型リングモジュレーターは、現行機種では electro harmonix の ring thingや、ピグトロニクスのring master等があるが、完全にアナログ仕様のリングモジュレーターは、おそらくこのcarlin ring modularだけではないだろうか。近年、リングモジュレーターというただでさえアブストラクトなエフェクターに、プレイセンスの卓越さで、それまでとは違う新しくかっこよいイメージを与えたギタリストのスギゾー氏に憧れて、リングモジュレーターに興味を持ったミュージシャンの方々にも多くおられると思うが、その種の目的がおありならば、残念ながら、このcarlin ring modulatorは全くおススメできない。第2の外部入力を使用しなくてもリング変調された金属音はもちろん出せるが、その音色はとにかく個性が強い。スギゾー氏のプレイのようなスマートな音色とはかけはなれた、70年代の実験的ジャーマンプログレ等で使用されたような、あの暗く、爛れたような荒廃感があるリングモジュレーター音なのだ。スマートさに欠け、一般に出回っている通常の楽曲の部分的なプレイに使用するには、あまりにも異質だ。ギターのみの入力でも非常に異様な世界の響きになるが、(もちろんエフェクトバランスはついているので調整は可能)これに必殺の第2の入力の変調をくわえると完全にこの世の音楽とおさらばしなくてはならない。壊滅的に危険な響きになる。そこには無限の可能性や、実験精神あふれる音響芸術という言葉の羅列を超えた、未知なる音の原野の拡がりを感じる。そこは極めて孤独な世界だ。しかし、その未知の原野に挑む準備と気概、そして勇気をもっているミュージシャン諸氏には、このcarlin ring modularは、辛口だが絶対に期待を裏切らないマッドサイエンティストのように、あなたの大冒険の強力な相棒になるだろう。追記 このcarlin ring modulatorには、通常のメインアウト(out A)以外に、amp outという名のout put Bが備わっている。実はこのB outから、なんらかのエフェクターの入力に接続してやり、そのエフェクターからのリターンを、例の第2の外部入力に接続してやると、フィードバックによる発振が発生し、ドローンシンセのような持続音を発生するノイズマシンに変貌する。リングモジュレーターといわゆるフィードバックルーバーが合体した状態になり、強烈かつ刺激的なサウンドの海が現れる。私はrocktronのディストーションペダルをこのループに挟んでいるが、誰も体験したことのない音の記録に没頭せざる得ない状態である。