minmin_gogo 4 これまで国産コピーモデルにソフトタイプのギグバッグを使用していましたが、ギブソンES335を購入したため、脆いマホガニーネックを守るため、より安全なセミハードケースを探していました。セミアコ用のセミハードケースの選択肢は、かなり限られます。TKLのZero-Gravity(TKL6155)が第一候補だったのですが、大分前に生産終了し、ほとんど入手不可能だったために、第二候補のこの製品を購入しました。一般的に言われる「セミハードケース」は大きく2種類に分けられます。ギターより一回り大きな発泡ウレタンをギターの形にくりぬいたよりハードケースに近いものと、ギグバッグの弱い部分を補強したものです。先に挙げたTKLは前者、この製品は後者になります。前者は場合によってはハードケース以上に安全ですが、ただでさえ大型のセミアコをさらに一回り大きい緩衝材に収めるために非常に大きくなるという欠点があります。後者は通常のギグバッグのように扱えますが、前者ほどの強度は無いと言う不安が付きまといます。この「ノアズアーク」はイケベ楽器のオリジナルブランドですが、楽器店のプロデュースだけあって色々考えられて作られています。「蓋」は完全に180度開くようになっていて、出し入れはやりやすいです。大型のポケットは楽譜などを入れるファイルがすっぽり入る大きさです。それ以外に小物を入れる網のポケットがあります。この網は外から丸見えなので、中が見えない素材の方が良いと感じましたが、別売のレインカバーを濡れた状態で入れるためあえてそうしているのかもしれません。プラスチックのハンドルは非常に持ちやすく、布製の持ち手2つをマジックテープでひとつにまとめるタイプの他のギグバッグとは一線を画するほど具合がいいです。ショルダーベルトも他製品より幅が広く、クッションも厚いので長時間の移動にも疲れにくいと感じます。ES335(とそのコピーモデル)に限らず、フェンダーも含めた様々なセミアコモデルに対応するために、内部は余裕のあるスペースになっており、それによる楽器のがたつきを防ぐためにネックピロー以外にスポンジのブロック(ひとつは固定用のマジックテープ付き)が2つ付いています。隙間をそれで埋めれば楽器を固定できるというわけです。ヘッド周りは空間的な余裕がありますので、もっと大型ヘッドのモデルでも平気ですし、外からの衝撃が直接ヘッドに伝わらないだけで安心です。これまで使っていたギグバッグは寸法的にギリギリで、ヘッドとケース頂点が完全に接触していましたから。緩衝材は上下面に20mmのスポンジ的な素材。側面はそれより固めの素材が約25mmの厚さで全周にわたって入っています。一般的なギグバッグよりは大目だと思いますが、特に側面はより大きくなってもこの倍くらいクッションがあった方が安心感が高いと感じました。開いてるうちは割りとやわに感じますが、ジッパーを完全に閉めれば上下側面に入ってる樹脂系の補強財が剛性を保つためにかなり強度が出ます。ただし、過信は禁物です。中が空のまま力を入れてみると、ネック部分がたわみます。もっと力を入れると曲がります。もちろん通常の使い方ではこんな事は起こりにくいですが、完全にネックが外力から保護されているわけではありません。一部の販売店の注意書きにも「ハードケースのような耐荷重性はありません。」と書かれています。やはりこのケースでも満員電車に乗ったり、このケースの上に何かを載せることは慎まなければなりません。割と「軽量」を謳っている割にはどこにも重量の記載がありませんでした。家の体重計で量ってみると3.6kgありました。比較対象だったTKL6155はカタログ値で3.0kg、ギブソン純正のハードケースが4.3kgでしたので、実はそれほど軽量ではありません。これまで使っていたギグバッグ(決してペナペナでは無くちゃんとクッションが入ったものです)は1.1kgでした。ですのでこの製品にはあまり軽さを求めない方がいいでしょう。ソフトタイプのギグバッグよりは遥かに安全だとは思いますが、それでも全幅の信頼は置けません。コツンとケースをどこかに当てるレベルの衝撃には十分と感じますが、広い部分に圧力が掛かるような場合、ネックの折れやすいギブソンマホガニーネックを入れることを考えると、まだまだ不安があります。安全性は第一級(でも仕上はいまいちらしい)のTKLは入手不能ですし、この製品と同じタイプのセミハードケースで、より強固と感じたReunion Blues RB(ストラトを入れてビルから放り投げても大丈夫だそうですが、さすがに335は壊れるでしょう)はこの倍の価格なのでなかなか手を出しにくく、この製品への期待は大きいですが、もう少しクッションの量を増やすなどの改善の余地はまだまだあると感じました。楽器店主導の製品なのでその辺の今後に期待したいと思います。※この製品のセミアコ用の内部の写真がネット上にほとんど無かったので、その辺を中心に参考画像を添付しました。