主観音 5 1985年発表のデビュー?アルバム、2002年に次いで2度目のリミックス&リマスター盤。個人的には、80年代の音に甦った2002年盤に満足していたのだが、今作の音の良さには驚いた。ヴォーカルの印象はさほど変わらないが、各々の楽器の響き具合や楽器ごとの音の分離など、バッキングの音質は信じられないほど改善されている。特にドラム?パフォーマンスは何度聴いても、録り直したとしか思えないほど現代的な音質に生まれ変わっている。何でも、ミックスで未使用だったガル?サミュエルソンのドラム音源を新たに発見したらしいが…。マイキングなどドラム録音の工程を考えてみても、にわかには信じがたいが、とにかくこのパフォーマンスは素晴らしすぎる。また94年の再発以降、作曲者のクレームにより収録曲から外され、2002年盤でもピー音だらけだったカバー曲「These Boots」は、今回、オリジナル歌詞でヴォーカルを録り直している。楽曲丸ごと1音ほどキーを下げているので、若干の違和感があるが、ムステイン大佐の御年を考えると最善の方法かな。近年の作品と聞き比べても遜色のない現代的なプロデュースが施されて、リフの殺傷力は格段にアップ。四天王の中でもデビューは遅かったが、他のバンドとは明らかに異なり、次作より自ら提唱することとなるインテレクチュアル?スラッシュ?メタルという知的且つ攻撃的なHMが、最初期から恐ろしく高度な音楽性を誇っていたことを再確認できる。また今回、「These Boots」を除いたオリジナル7曲のライヴ音源が、本編同様の曲順で収録されている。こちらの音質は酷いものだが、パフォーマンス自体はかなり熱い。さらに、2002年盤のボーナス?トラック『Skull Beneath the Skin』のデモ音源3曲がリマスタリングで再度収録されているが、こちらもやや音圧が上がった程度で本編ほどの変化はない。個人的には3枚目の『Killing Is My Business』だが、今回も大満足。「ザ?ファイナル?キル」って副題も伊達じゃない。2002年盤では味わえない興奮を与えてくれる素晴らしいリミックス&リマスター盤だ。こんなに凄い技術があるのなら、メタリカにもベース入りの『...And Justice for All』リミックス&リマスター盤を出してほしいな。